この記事は、
「プログラミングに関する資格って、どんなものがあるのかな?」
という人向けの記事です。
プログラミングに限らず、IT系の資格全般について記載しています。
対象 | プログラミングやITエンジニアに関する資格に興味のある方。 |
概要 | プログラミングやITエンジニアに関する資格にどんなものがあるか、どれがいいのか、キャリア・経験年数別のおすすめも紹介。 |
筆者 | Zuu [ ]
IT企業で管理職を務める現役ITエンジニア。 若手エンジニアの教育や採用を担当。資格も多数保有。
保有資格 ・プロジェクトマネージャ ・システムアーキテクト ・エンベデッドシステムスペシャリスト ・応用情報技術者 |
はじめに
ITエンジニアは、医師や弁護士と違って、職業に就くために必要な資格はありません。
とはいっても、やはり資格を持っていることに越したことはありません。
プログラミング学習のモチベーションにもなりますからね。
プログラミングに関する資格を取得するメリット・デメリット
メリットに関しては、まずは何と言っても、能力を証明する手段となるということが大きいですね。
自信にもつながりますし、どんどんレベルが上がっている感じがすることでしょう。
また、企業によっては毎月の給与に手当がついたり、一時金をもらえたりということもあります。
あとは、プログラミングで副業をしたいと考えている人にとっては、多少のアドバンテージにはなるかもしれませんね。
実績以外に能力を証明する手段は、資格ぐらいしかないので。
デメリットに関しては、受験料や参考書代がかかるということぐらいしかありません。
プログラミングに関する資格と就職面接時の評価
正直、資格を持っていても評価が上がることはほとんどないです。
筆者は面接官をすることがありますが、高校生なら「基本情報技術者試験」、
大学生なら「応用情報技術者試験」を持っていたら、よく勉強しているなぁと関心しますね。
筆者は、資格を持っている応募者に対しては、資格取得の目的やどういう勉強をしたかなどを質問しています。
よって、面接での話題の1つになる可能性はありますね。
ちなみに、筆者が転職活動をしていた時は、スペシャリスト資格を応募書類に記載していましたが、
一度も質問されることはありませんでした(笑)。
中途採用は、実務能力のほうが重視されますからね。
プログラミングに関する資格の種類
資格には、国家資格と民間資格があります。
国家資格と民間資格
国家資格とは以下のものを指します。
国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明されるもの
日本では、情報処理推進機構が実施している情報処理技術者試験が有名です。情報処理技術者試験は国家資格ではありますが、ITエンジニアやプログラマになるにあたって必須の資格ではありません。
それに対して、民間資格とは以下のものを指します。
民間団体や個人等が、自由に設定でき、独自の審査基準を設けて任意で与える資格
IT業界では、マイクロソフトやオラクルなど高いシェアを持っているメーカーが行っていることが多いです。
国際資格
民間資格の中には、世界水準の認定制度により日本国内だけではなく世界に通用する国際資格と呼ばれるものがあります。海外での勤務を目指している場合には能力を証明する手段になるので、国家資格よりも優先して取得すると良いでしょう。
プログラミングに関する資格の一覧
※IT系のすべての資格ではなく、有名な資格を記載しています。
資格一覧表
国家資格一覧
ITパスポート試験
情報技術に関する共通的な基礎知識を習得しているかどうかを確認する試験です。
プログラマ・ITエンジニア向けというよりは、社会人全般向けの試験になります。
プログラマ・ITエンジニアを目指しているのなら、無理に取得する必要はないでしょう。
就職活動でも特に評価されないと思います。
情報セキュリティマネジメント試験
情報システムの利用部門において情報セキュリティの確保・維持・改善するための知識を習得しているかどうかを確認する試験です。
ITパスポート試験と同じく、プログラマ・ITエンジニア向けではありません。
プログラマ・ITエンジニアを目指しているのなら、無理に取得する必要はないでしょう。
就職活動でも特に評価されないと思います。
基本情報技術者試験
IT人材として必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けているかどうかを確認する試験です。
プログラマ・ITエンジニアの登竜門と言える資格です。
プログラマ・ITエンジニアを目指しているのなら、まずはこの資格から挑戦することになるでしょう。
就職活動では少し考慮される程度です。入社後に取得を推奨している会社もあるので、学生のうちにとっておくと(もしくは勉強しておくと)良いです。
筆者はこの資格を保有していませんが、新人教育担当になった後に何度か解いてみました。
基本的知識をきちんと理解していれば、間違いなく合格できる難易度だと思います。
アルゴリズムがわからない、問題文を早とちりしてしまうという人は午後が鬼門かなと感じました。
試験を受けなくても、基礎知識を身につけるために参考書を持っておいてもよいでしょう。参考書は以下のどちらかがおすすめです。
応用情報技術者試験
IT人材として必要な応用的知識・技能を身に付けているかどうかを確認する試験です。
基本情報技術者試験の次に取得することが推奨されている資格です。
この資格を持っていれば、プログラマ・ITエンジニアとして1人前と言えるでしょう。
学生時代にこの資格を取得する人は稀ですから、就職活動ではちょっとした武器になるかもしれません。
人によっては基本情報技術者試験より簡単と感じることもある試験です。
プログラミング不要な試験ですが、各分野の知識をある程度習得していないと合格が難しい試験です。
筆者は大学時代に1度不合格になっています(当時は第一種情報処理技術者でしたが)。
知識レベルとしては、情報系の大学の講義で学ぶ内容ぐらいかと思います。
プログラマ・ITエンジニアなら最低このぐらいのレベルに達しておきたいところです。
ネットワークスペシャリスト試験
専門分野としてネットワークに関係する固有技術を身に付けているかどうかを確認する試験です。
ネットワークを専門としている場合は、取得しておいたほうが望ましいです。
難易度が高いため、より実践的なベンダー資格を先に取得したほうが良いかもしれません。
データベーススペシャリスト試験
専門分野としてデータベースに関係する固有技術を身に付けているかどうかを確認する試験です。
データベースを専門としている場合は、取得しておいたほうが望ましいです。
難易度が高いため、より実践的なベンダー資格を先に取得したほうが良いかもしれません。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
専門分野としてエンベデッドシステムに関係する固有技術を身に付けているかどうかを確認する試験です。
ハードウェアとソフトウェアの両方の知識が必要となってくるので、難易度は高いです。
午後問題は割と実践的な問題が出ることも多く、解くのが楽しいものもあります。
レベル4の試験は得意としている分野が出るだけで大幅に合格率が変わります。
何回かトライしてみると、“俺得な”問題が出るかもしれません。
システムアーキテクト試験
アーキテクチャ設計技術および情報システム開発技術を有しているかどうかを確認する試験です。
多少マネジメント要素があるものの、プログラマ・ITエンジニア系としては最上位に位置する資格です。
アーキテクチャ設計の問題は割と実践的な問題が出ることも多く、解くのが楽しいものもあります。
論文が必要となるため、スペシャリスト試験と違って苦手としている人も多いようです。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトの管理・運営技術を有しているかどうかを確認する試験です。
設計要素に関する問題はほぼ出ないと言っても良いです。
PMPと違って受験料が安いため、会社の補助がなく自費で受ける人にはこちらがおすすめです。
おそらく午後Iの記述問題と、午後IIの論文どちらかが鬼門になると思うので、十分な対策が必要になるでしょう。
ITストラテジスト試験
企業の経営戦略に基づいて、情報技術を活用した改革・高度化・最適化を行うことができるかどうかを確認する試験です。
業務改善計画などが主となるため、あまりプログラマ・ITエンジニア向けとは言えません。
スペシャリストよりは管理職向けの資格と言えると思います。
ITサービスマネージャ試験
ITサービスのマネジメント技術を有しているかどうかを確認する試験です。
システムのリスクやコストを管理する技術が求められるため、あまりプログラマ・ITエンジニア向けとは言えません。
スペシャリストよりは管理職向けの資格と言えると思います。
システム監査技術者試験
情報システムや組込みシステムの監査技術を有しているかどうかを確認する試験です。
監査業務に従事している人向けなので、あまりプログラマ・ITエンジニア向けとは言えません。
スペシャリストとも管理職とも違う、少し特殊な職務の資格と言えると思います。
情報処理安全確保支援士試験
サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を有しているかどうかを確認する試験です。
合格後に所定の登録手続きを行うと、「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」となります。
ロゴマークを名刺等に掲示できたりと、情報処理推進機構の他の資格とは異なります。
料金が高いため、会社の補助がないと少し厳しいかもしれません。
民間資格一覧
シスコ技術者認定
シスコ社が行っているネットワーク技術の認定試験です。
エントリー、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパート、アーキテクトの5つのレベルがあります。
5つのレベルすべてが国際資格となります。
料金が少し高いため、会社の補助がないと少し厳しいかもしれません。
ノベル認定技術者
ノベル社が行っているネットワーク技術の認定試験です。国際資格となります。
システム管理者向けと、システム構築エンジニア向けの2つのカテゴリがあります。
オラクル認定技術者制度
オラクル社が行っているデータベース技術の認定試験です。
ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの4つのレベルがあります。
ブロンズのみ国内の資格となり、シルバー以降は国際資格となります。
料金が少し高いため、会社の補助がないと少し厳しいかもしれません。
PMP(ぴーえむぴー)
PMI本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。
情報処理推進機構のプロジェクトマネージャ試験と比較すると、受験資格や維持などの面でかなりの違いがあります。
料金が高いため、会社の補助がないと少し厳しいかもしれません。
ITIL(あいてぃる)
ITサービスマネジメントについての知識を有しているかどうかを確認する試験です。
ファンデーション、プラクティショナ、インターミディエイト、エキスパート、マスターの5つのレベルがあります。
5つのレベルすべてが国際資格となります。
料金が高いため、会社の補助がないと少し厳しいかもしれません。
CISA(しさ)
アメリカに本部を置くISACAが行っているシステム監査についての知識を有しているかどうかを確認する試験です。
認定されるためには、合格後に実務経験が必要です。
料金が高い上に維持が大変であるため、厳しい資格と言わざるを得ません。
CISM(しすむ)
アメリカに本部を置くISACAが行っている情報セキュリティについての知識を有しているかどうかを確認する試験です。情報セキュリティ・プログラムの管理経験者のみを対象としている点に特徴があります。
CIW(しーあいだぶりゅ)
インターネット技術者のための特定のベンダーに依存しない中立的な試験です。
他の民間資格のとは異なり、職種ごとに構成されているのが特徴です。
MCP(えむしーぴー)
マイクロソフト社が行っている、マイクロソフト製品に対する知識と技能の認定試験です。
OSを中心に、非常に多くのカテゴリとレベルがあります。
マイクロソフト製品を扱った業務をメインとしている場合は、取得を検討すると良いでしょう。
C言語プログラミング能力認定試験
サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催している、C言語のプログラミング能力を確認するための試験です。
1級から3級までの3段階があり、1級が一番難易度が高いです。
オラクル認定Javaプログラマ
オラクル社が行っている、Javaのプログラミング能力を確認するための試験です。
ブロンズ、シルバー、ゴールドの3つのレベルがあり、ゴールドが一番難易度が高いです。
Javaプログラミング能力認定試験
サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催している、Javaのプログラミング能力を確認するための試験です。
1級から3級までの3段階があり、1級が一番難易度が高いです。
PHP技術者認定試験
PHP技術者認定機構が行っている、PHPのプログラミング能力を確認するための試験です。
初級、準上級、上級の3つのレベルがあり、上級が一番難易度が高いです。
Pythonエンジニア認定試験
Pythonエンジニア育成推進協会が行っている、Pythonのプログラミング能力を確認するための試験です。
2019年夏からは、基礎試験に加えて、データ分析試験が開始される予定となっています。
Ruby技術者認定試験制度
Rubyアソシエーションが行っている、Rubyのプログラミング能力を確認するための試験です。
エンジニア、コンサルタント、講師、学生などを対象としています。
VBAエキスパート
マイクロソフト社のExcelやAccessに搭載されているVBAの能力を確認する試験です。
オデッセイコミュニケーションズが主催しています。
プログラマ・ITエンジニア向けとうよりは、事務職向きかもしれません。
HTML5プロフェッショナル認定試験
エルピーアイジャパンが行っている、HTML5、CSS3、JavaScriptなどのWeb標準言語の能力を確認する試験です。
レベル1とレベル2があり、レベル2のほうが難しいです。
レベル2試験は、CIWのスペシャリスト資格と比べても難しいと思います。
Android技術者認定試験
Open Embedded Software Foundationが行っている、Androidを使用したソフトウェアの開発能力を確認するための試験です。
アプリケーション技術者向けとプラットホーム技術者向けの試験があります。
アプリケーション技術者向けには、ベーシックとプロフェッショナルの2段階のレベルがあります。
プラットホーム技術者向けは、ベーシックのみとなっています。
プログラミングに関する資格の難易度
この記事に掲載している資格の難易度の目安をまとめました。
ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップをベースにしています。
レベルの値が大きいほど難しい試験です。
レベル |
国家資格 |
民間資格 |
4 |
ネットワークスペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
システムアーキテクト試験
プロジェクトマネージャ試験
ITストラテジスト試験
ITサービスマネージャ試験
システム監査技術者試験
情報処理安全確保支援士試験
|
ITIL(インターミディエイト・エキスパート)
シスコ技術者認定(エキスパート)
オラクル認定技術者制度(プラチナ)
ITIL(エキスパート)
|
3 |
応用情報技術者試験
|
PMP
シスコ技術者認定(プロフェッショナル)
オラクル認定技術者制度(ゴールド)
オラクル認定Javaプログラマ(ゴールド)
ノベル認定技術者(エンジニア)
Android技術者認定試験(プロフェッショナル)
HTML5プロフェッショナル認定試験(レベル2)
PHP技術者認定試験(上級)
VBAエキスパート(プロフェッショナル)
|
2 |
基本情報技術者試験
情報セキュリティマネジメント試験
|
CISM
CISA
シスコ技術者認定(アソシエイト)
オラクル認定技術者制度(シルバー)
オラクル認定Javaプログラマ(シルバー)
ノベル認定技術者(アドミニストレータ)
Android技術者認定試験(ベーシック)
CIW JavaScript・スペシャリスト
CIW Perl・スペシャリスト
CIW HTML5 & CSS3・スペシャリスト
C言語プログラミング能力認定試験(1級)
HTML5プロフェッショナル認定試験(レベル1)
Javaプログラミング能力認定試験(1級)
MCP C#によるプログラミング
PHP技術者認定試験(準上級)
Ruby技術者認定試験制度(ゴールド)
VBAエキスパート(スタンダード)
|
1 |
ITパスポート試験
|
ITIL(ファンデーション)
シスコ技術者認定(エントリー)
オラクル認定技術者制度(ブロンズ)
オラクル認定Javaプログラマ(ブロンズ)
C言語プログラミング能力認定試験(2級・3級)
Javaプログラミング能力認定試験(2級・3級)
PHP技術者認定試験(初級)
Pythonエンジニア認定試験(基礎)
Ruby技術者認定試験制度(シルバー)
VBAエキスパート(ベーシック)
|
プログラミングに関する資格の経験年数別おすすめ
初心者
初心者の方は、無理に資格に挑戦しなくても良いでしょう。
まずは、プログラミング技術を磨いていくことをおすすめします。
中学生
今学んでいる言語に関する試験があれば、力を試すという意味で受験しても良いかと思います。
例えば、以下のようなものです。
- C言語プログラミング能力認定試験
- Javaプログラミング能力認定試験
- PHP技術者認定試験
- Pythonエンジニア認定試験
- Ruby技術者認定試験制度
IT全般の知識を身につけたいということであれば、基本情報技術者試験の勉強を始めてもよいでしょう。
高校生
・基本情報技術者試験
電子科などがある一部の高校では、基本情報技術者試験の受験を推奨している学校があります。早い時期に基本を身につけておくことは非常に大事です。もちろん、大学から始めても遅くはありません。
試験を受けなくても、基礎知識を身につけるために参考書を持っておいてもよいでしょう。参考書は以下のどちらかがおすすめです。
大学生~社会人1・2年目
・基本情報技術者試験
・応用情報技術者試験
大学の4年間で学ぶ知識をきちんと理解できていれば、応用情報技術者試験にも合格できると思います。多少ではありますが、就職活動での評価にもプラスされるので積極的に取得しておきたいところです。
社会人3年目~
・応用情報技術者試験
世間では、3年働いて一人前とよく言われます。筆者の考えですが、応用情報技術者試験がITエンジニアの一人前だと認識しています。転職ではさほどプラスになりませんが、派遣社員や契約社員などの場合には武器になると思います。
社会人5年目~
・スペシャリスト試験
・業務に関連のある民間資格
社会人5年目以降は、専門性を高める時期です。スペシャリストなどの専門業務に近い資格を取得するのがおすすめです。
社会人10年目~
・論文のあるレベル4試験
・PMP
社会人10年目ともなれば、多少なりともマネジメント知識が必要となってくるはずです。プロジェクト管理系の知識を身につけておけば、働き方の見直しにも役立ちます。上を目指す人には是非とも挑戦してほしい資格です。
よくあるご質問
おすすめのプログラミング/ITエンジニアの資格は?
あなたの現在の職業やキャリア・経験年数によって異なります。
筆者のおすすめは以下の通りです。
・中学生/高校生:基本情報技術者試験
・大学生~社会人1・2年目:基本情報技術者試験、応用情報技術者試験
・社会人3年目~:応用情報技術者試験
・社会人5年目~:スペシャリスト試験
プログラミング/ITエンジニアの資格は就職に役立つ?
高校生なら「基本情報技術者試験」、大学生なら「応用情報技術者試験」を持っていると多少影響はあるかもしれませんが、ほとんど有利になることはありません。
また、ITエンジニアを目指しているなら、ITパスポートは全く意味はないです。
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